さて、学生の頃の話。
 自分は好きな人の性別にこだわらない、と豪語する友人がおりました。俗に言うバイセクシャルですね。
 彼は非常に理想が高く、女性なら当時有名だった某女優の名を挙げ、男性なら現在活躍中の某アーティストの名を挙げていたので「んなヤツ巷にはいねーよ」とばかりに皆で呆れていたのであります。
 ところで、彼にはいつもつるんでいる3人の友人がおりました。
 もちろん全て男性です。
 はたから見ていると、彼らは少年のようでした。どの子もまだ世の中の垢にまみれず、純心で単純で愛すべき存在で――そうそう、彼らは私よりも年下でした――仲間内では誰もが温かい目で見ていました。

 ややこしいので、バイの彼をK君としましょう。
 K君の3人の友人のY君とM君とは面識がありました。
 ぶっちゃけて言うなら私はM君が好きでした。
 珍しくじっくり時間をかけて好きになりました。
 K君とは友人のように、Y君とは姉弟のように、そしてM君には下心を持って付き合っていたわけです。
 恋愛事に対しては前向きな私は、もちろんM君に玉砕覚悟である時ぶつかったのでございます。
 結果ですか?
 初回は惨敗。
 二回目以降は引き分け。
 そして半年後、見事勝利をおさめました。
 このM君というのが、自分で言うのもなんですが、かなりの美少年で、隠れファンがそこかしこに存在していたのです。
 それを射止めた私は、隠れはしないものの交際を公言せずにしばらくお付き合いを進めていました。
(ま、結局ばれましたけどね)
 当然のことながらM君は友人3人には私の事を正直に報告していたようで、件の台詞はその事実を知ったK君が私に向かって呟いたものなのです。

 喫茶店で2人きり。向かい合ってぼそりと言われたその時の私の気持ちったら。
「・・・マジですか?」
 冗談かと思いましたよ。
 ってか、なんで三すくみで死なねばならん。
 私を刺して2人で逃避行と言うのなら分からないでもないです。もしくは彼を刺して心中する。
 どっちも穏やかではありませんが。
 何故に3人全員死ななければならないのでしょう?
 あまりに驚いたので、私は軽口を叩いてその場を逃げました。
「K君、M君の事好きだったのね〜。ごめんね〜、取っちゃって」

 後日、女性の友人にその話をすると
「・・・好きだったのは彼(M君)だけじゃなかったのかもねえ」

 なるほど。
 そういう考え方もできるのですね。
 でも、どう考えても、あのこだわりのある彼が私を好いていたとは思えないのですが。
 どうなのでしょう。
 ちなみに私は「たぬき顔」(笑)
 真相は闇の中。

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